2025.09.01 看護師
【災害】ー糖尿病と共に その時を生き抜くー

9/1は防災の日です。もし今日災害が起きたら、あなたはどう行動しますか?
大地震に風水害。災害はいつ起こるか分からないからこそ、日ごろの備えが大切です。
今回は災害の備えについてや、糖尿病の方が気を付けることを解説します。
その① ハザードマップを見て避難所を知ろう
ハザードマップとは「命を守るための地図」です。ハザードマップを見て、ご自身の暮らす地域の災害危険度や避難所をチェックしましょう。名古屋市のハザードマップを見るには以下の方法を参考にしてください。
方法❶ 「名古屋市防災アプリ」をスマホにダウンロードする。
【ダウンロードはコチラ:名古屋市:名古屋市防災アプリ(暮らしの情報)】
方法❷ 名古屋市公式ウェブサイト(下記)から閲覧する。
【名古屋市:なごやハザードマップ防災ガイドブック(暮らしの情報)】
「各区のハザードマップ」の項目から確認できます。
※名古屋市以外にお住いの方は各自治体の公式サイトなどをご参照ください。
なお、避難所は災害ごとに異なる場合があります。例えば当院から最寄りの避難所は、地震の場合は神宮東公園、洪水・内水・高潮の場合は南特別支援学校の2階以上となっています。
また、災害時には慌ててしまい判断が遅れたり、インターネットにうまく繋がらなくなることも考えられます。地震の時は〇〇、洪水の時は〇〇など、それぞれの避難先を前もって手帳などに控えておくと良いでしょう。「糖尿病連携手帳」を持っている方はフリーページをご活用ください。
その② 非常持出品・備蓄品について
自宅の停電や断水、避難所などでの生活を想定し、最低でも3日間は自力で生き延びられるように備えましょう。災害用の非常持出品・備蓄品の例として下記のウェブサイトを参照ください。さらに、水害時に濡れて困るものはジッパー付きのビニール袋などに入れておくと安心です。
【名古屋市:非常持出品・備蓄品の準備について(暮らしの情報)】
糖尿病に関係する医療品は下記を参考に、いつでも持ち出せるようにしておきましょう。
災害時に持ち出す医療品の例
下記の一覧を参考にしてください。一覧をメモするか印刷して、非常持出品と一緒に保管しておくと便利です。
※1型糖尿病の方はこちらもご参照ください。
【災害時のインスリン注射サポートに関して 日本糖尿病協会(JADEC):diamat_p_line.pdf】
【災害時の対応 : 日本IDDMネットワーク 1型糖尿病・IDDM】
その③ 災害時でも焦らずに 普段の治療をなるべく続けよう
災害発生直後~数日間は、普段と違う生活環境によって血糖値が不安定になりやすいことが予想されます。具体的には、避難生活での非常食(糖質の多い食事)や運動量の低下、ストレス、薬の不足、感染症などで血糖値が上がってしまう場合や、食料不足や不規則な食事時間、復旧作業での重労働などで血糖値が下がり過ぎてしまう場合があります。十分な水分を摂れず脱水症に陥ってしまうことも考えられます。
しかし、どんな状況でも高血糖・低血糖による昏睡を防ぎ、生き延びなければなりません。
注射薬や飲み薬を使っている方は薬を切らさないように普段から受診すること、災害時に始めて会う医療者にも自身の薬の種類や効果を言えるようにしておきましょう。特にインスリン注射を使っている方は、薬を切らさないように受診してください。
避難生活でも食事療法や運動療法を思い出して、できる限り血糖値の管理をしていくことが大切です。(下図参照)
食事療法の例:糖質に偏り過ぎず栄養バランスの良い食事をできる限り選ぶ、よく噛んで食べる、食事のタイミングを規則正しくするなど。
運動療法の例:食後に20分間、足上げ運動をするなど。足をこまめに動かすことは深部静脈血栓症・肺静脈塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の予防にも有効です。水分(水や麦茶)も我慢せず、こまめに摂りましょう。
おわりに
今回は糖尿病と災害への備えについて解説しました。
糖尿病と災害については日本糖尿病協会(JADEC)がまとめている記事もあります。【糖尿病とともに生きる人の災害への備え|公益社団法人日本糖尿病協会】
政府機関より南海トラフ地震が起こる確率は今後30年以内に80%程度との予測が公表されており、私自身「災害はいつ起きてもおかしくない」と認識を改めたいと感じています。
なお、2025年9月27日(土)13:00~14:00の糖尿病教室でも災害に関することや、基本的な糖尿病の治療に関するお話をさせていただく予定です。興味のある方はぜひこの機会にご参加ください。どなたでも参加可能・参加費無料です。田中クリニック内分泌・糖尿病内科:052-829-0577から予約をお願いします。