2026.03.10 看護師
脂質の働きと脂質異常症
年が明けたのも束の間、2026年も2カ月が過ぎてしまいました。この時期は年末年始の食生活の乱れや運動量の減少などがあり、「先月はたくさん食べたから数値が上がってるかなぁ」「体重測るのがコワイです」と検査時にお話しされる患者さんもいらっしゃいます。
さて、今回は「脂質異常症」についてまとめてみましたので、食べすぎや運動不足のある方、検査の数値・体重が気になっている方はぜひとも読んでみてください。
そもそも、脂質とは何か?
脂質とは ―――生命を支える『あぶら』です
体内において脂質(ししつ)は分解や合成を経て様々に姿を変え、血液やリンパ液を通って全身をめぐり、生命にとって重要な役割を果たしています。

脂質の主な役割とは、①エネルギー源となる②体内の様々な物質の材料となるなどです。
「中性脂肪」や「脂肪酸」は①エネルギー源となる脂質です。中性脂肪は皮下や肝臓、その他の内臓周囲に蓄えられ、必要時に脂肪酸に分解されることで細胞のエネルギー源になります。
「コレステロール」や「リン脂質」は②体内の様々な物質の材料となる脂質です。コレステロールの場合は細胞膜、ステロイドホルモン、胆汁酸などの材料になります。
「LDLコレステロール」や「HDLコレステロール」とは?
LDL、HDLはコレステロールを運ぶ『ミクロの乗り物』
先ほど脂質は体内をめぐっていると説明しましたが、ここでひとつ問題があります。それは、あぶらであるコレステロールや中性脂肪は水にはじかれてしまい血液中を流れることができないということです。そこでコレステロールや中性脂肪は、血液中を流れることができる『ミクロの乗り物』に乗るという形でこの問題を解決しています。
この『ミクロの乗り物』のことを正しくは「リポたんぱく質」といいます。LDLやHDLはその種類のうちの一つであり、コレステロールの運搬に深く関わっています。
LDLとHDLはそれぞれ下の図のような働きをしています。

前置きが長くなりましたが「LDLコレステロール」とはLDLに運ばれているコレステロールのこと、「HDLコレステロール」とはHDLに運ばれているコレステロールのことです。LDLは「悪玉」、HDLは「善玉」と表現されることもありますが、本来はLDLとHDLがバランスよく働いて血液中のコレステロール量を一定に保っているのです。
脂質異常症とは?
食べすぎ、運動不足、喫煙などの生活習慣や加齢・遺伝的な要因などが原因となって体内の脂質のバランスが崩れてしまった状態が脂質異常症です。脂質異常症の大きな問題として、自覚症状なく血管の壁にLDLコレステロールが徐々に蓄積して動脈硬化を起こし、やがて心臓や脳など大きな血管の病気を引き起こす可能性があります。
脂質異常症の診断基準
血液検査で下記の3項目のうち1つ以上が該当すると脂質異常症の診断となります。
・中性脂肪値が基準値より高い(空腹時採血150㎎/dl以上 または随時採血175㎎/dl以上)
・LDLコレステロール値が基準値より高い(140㎎/dl以上)
・HDLコレステロール値が基準値より低い(40㎎/dl未満)
・中性脂肪が多すぎると動脈硬化の因子となり、さらに高値では急性膵炎などのリスクとなります。なお、中性脂肪値は「トリグリセリド値、トリグリセライド値、TG値」と表記されることもあります。
・LDLコレステロールが多すぎることは動脈硬化の主要な因子です。余分なLDLコレステロールが血管壁内に徐々に蓄積していき、塊(アテローム)を形成することで動脈硬化が起こります(アテローム性動脈硬化)。
・HDLコレステロール値が少ないことは、動脈硬化の原因となる余分なコレステロールをうまく回収できていないことを意味し、やはり動脈硬化が進行する因子となります。

脂質異常症と他の疾患の関係は?
脂質異常症、糖尿病、高血圧は、加齢や遺伝的要因などの他、食べすぎ・運動不足・喫煙などの生活習慣が原因となって合併していることも多いです。これらの疾患が合併している人は動脈硬化の進行がいっそう早く、心臓や脳の血管の病気を起こすリスクが高くなるため、血液検査での脂質の目標値はより厳しくなります。原因となる生活習慣を見直し、それぞれの疾患を適切に管理や予防していくことが重要です。
その他、甲状腺機能低下症によってLDLコレステロール値が上昇することなどがあり、医師の診察と検査が必要です。
脂質異常症を改善するために
できることをひとつずつ行いましょう!
●禁煙しよう
●体重、血圧、歩数を毎日測ろう
●食事は肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を抑え、魚、大豆製品、野菜や海藻類の摂取を増やそう
●塩分を控えよう
●アルコールの過剰摂取を控えよう
●有酸素運動(歩行や体操など)を毎日30分以上しよう

脂質異常症にはほとんど自覚症状がありません。何も感じないから大丈夫と判断せずに、通院し検査を受けましょう。分からないこと、不安なことはいつでも医師・管理栄養士・看護師にお尋ねください!







