コラム

COLUMN

2025.06.27 看護師

ご用心!熱中症と糖尿病

昨年2024年の夏は全国的に気温が高くなり、熱中症の搬送者は9万7千人を超え、過去最多となりました。今年の夏も暑くなることが予想されており、「特に梅雨明けの前後の暑さには最も注意が必要」と消防庁より注意喚起されています。

熱中症とは

熱中症とは、温度や湿度が高い中で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れて、体温の調節機能が働かなくなり、体温上昇、めまい、体のだるさ、けいれん、意識障害など様々な体の不調をおこす症状のことを指します。

参考:消防庁heatstroke003_leaflet.pdf

糖尿病と熱中症の関係とは

糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、糖尿病合併症の進行により血管や神経が障害され、汗の調節がうまくできなくなる場合があります。汗がうまく出ないと体から熱を逃がしにくくなり、熱中症が起こりやすくなると考えられます。

また、血糖値が高いと、糖と一緒に体の水分が尿として排泄されてしまうため、体内では水不足(脱水)が進みます。脱水の状態になるとより熱中症になりやすいと考えられます。

熱中症に備えて

①水分補給を習慣づけよう

糖尿病の人の水分補給には血糖値を上げない水かお茶が適しています。
お茶は、カリウムやカフェインの含有量が少ない麦茶がおすすめです。
注意点として、水分は一度にたくさんの量を補給しても体に吸収されるわけではありません。
(一度に体に吸収されるのは200~250ml程度とされています。)
そのため、コップ1杯(150~200mlくらい)の水分を数時間おきに補給するようにしましょう。
例えば150mlの水を①起床時②朝食時③10時④昼食時⑤15時⑥夕食時⑦入浴前⑧就寝前と計8回補給できれば、150×8=1200mlで理想的な1日の水分摂取量となります。

②環境を見直そう

事前にエアコン、扇風機、サーキュレーターなどの冷房・空調設備の点検をしておきましょう。
他に、日よけ(サンシェード)などの遮熱グッズの設置や、家の周囲に水まきをするのも気温を下げる効果があります。

③熱中症情報を確認しよう

室内の気温・湿度や、天気予報、WBGT(※)、熱中症アラート情報などをこまめに確認しましょう。

WBGTとは:暑さ指数(湿球黒球温度)のことです。WBGTは湿度、日射熱、気温、風速から算出され、どれだけ熱中症を起こしやすい環境であるかを数値で示します。WBGTが28を超えると熱中症の危険が高くなると言われていますが、それより低い数値でも熱中症への警戒は必要です。

 

今回は熱中症と糖尿病について解説しました。
なお、インスリン注射などを使っていて低血糖の心配がある方は、低血糖と熱中症の症状の区別がつかない場合があります。外出先では血糖測定器やブドウ糖を携帯しましょう。また、症状を我慢せずすぐに病院を受診しましょう。